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2022.02.07掲載

ふくし拠点 -暮らり- 橋本 康太(はしもとこうた)さん

2022年春、西町の古民家が「暮らり」としてオープン

三原の中でも、お寺や神社など古くからの街並みが残る西町。ここの一角にある築120年は優に越える古民家は、入口からは見えないが、70平米の家の中には母屋以外に離れや中庭、蔵まである。その古民家を大掛かりにリノベーションし、2022年春にオープンするのが「暮らり」だ。理学療法士の橋本康太さんが運営する高齢者介護のデイサービス施設が1階に、デザイン事務所兼カフェなどが2階に入る。

普段の生活の中で自然に行うリハビリテーション

「暮らり」は一般的なデイサービス施設で取り組まれるリハビリテーションのプログラムではなく、普段の生活の流れを基調とし、その中で自然に体を動かしながらリハビリテーションに繋げていくスタイルを主にしている。例えば、食事。お弁当を外注するのではなく、利用者が自ら材料を買いに行き、調理し、盛り付け食べる。もちろん、介護度によってできることに差はあるが、可能な限りその作業に関わることで、自然と手や足を動かしている。目的を持った作業を通し、利用者同士、利用者と施設スタッフがコミュニケーションを取りながら、結果的にリハビリテーションを行っているという仕組みを目指している。

そのスタイルは橋本さんが感じ取った〈苦しさ〉ゆえ

なぜ「暮らり」がそのようなスタイルを取るに至ったのか。それは、橋本さんがこれまで目にし、感じてきたことの積み重ねが基盤となっている。理学療法士として、いくつかの施設で仕事をしてきた中で、いつもごくわずかではあるが、施設のリハビリテーションのプログラムに合わせられず、疎外感を感じる利用者がいることが気になっていた。理由は身体機能の衰えであったり、認知機能の衰えであったりと様々だったが、それらの利用者の〈苦しさ〉を感じ取っていた。「彼らの受け皿となるような施設を作りたい」、そう思った橋本さんは、全国各地の施設を訪問し、積極的に運営に携わるスタッフたちの思いに触れ、自らが目指す施設の形をイメージしていった。そして、じわりじわりと「暮らり」のスタイルが形作られていったのだ。

「まちと施設の境界をあいまいにしたいんです。」

橋本さんは、施設作りを模索する中で、〈まちのリノベーション〉にも同時に興味を持った。近年増加している空き家に手を入れ、そこを地域でどう生かしていくのか。施設として古民家を利用しようと思い立ったのもそんな理由からだった。古民家の良いところは、建物が〈まちなか〉にあるということだ。人の姿が見え、生活を感じられる場所にあり、地域の方も足を運びやすい上、交わりも持ちやすい。つまり、施設が地域に溶け込んでいるのだ。「暮らり」が今の場所にあるのもそれゆえだ。
さらに施設には、デイサービスの利用者だけではなく、子育て中の母親や子どもたちなど、様々な立場の人たちが利用できる機能を合わせ持たせる。目的を持って「暮らり」を訪れる人たちがお互いの姿を目にし、そこで新たな目的を発見し、交流を持つ機会を作り出す。そんな施設を目指している。
始動まであと少し。「利用者さんに〈ありがとう。〉と言える関係をを築いていきたいんです。」そう話す橋本さんとスタッフたちは、運営の土壌となる「暮らり」らしいケアについて共に考える日々だ。そこからどんな木が育ち、枝葉を茂らせるのか。人と共に、まちと共に、少しずつゆっくりと成長していく「暮らり」のこれからが楽しみだ。

ふくし拠点「暮らり」
橋本康太(はしもとこうた)
広島県三原市西町2-4-39
TEL.050-3605-4555
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