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2022.05.27掲載

サクラサク  植原健司(うえはらけんじ)さん

家具からはじまる家づくり


サクラサクを訪れたのは、まさに桜咲く季節。敷地内の川沿いに並んでいる桜が、風が吹くたびにハラハラと花びらを散らす暖かな日だった。迎えてくださったのは、代表の植原健司さん。三原市久井町で、弟2人と共にサクラサクを営んでいる。
家具職人である健司さんが工房を立ち上げ、そこに次男である大工の浩之さんが加わり、工務店で図面を引いていた三男の公司さんも合流し10年が経とうとしている。そしてこの春からは若手の職人も加わり、4人で新たなスタートを切った。

「〈家具からはじまる家づくり〉始めた頃は珍しがられましたね。」
家づくりといえば、土地を探して、家を建て、そこに合う家具を購入するという流れが一般的だった設立当時、サクラサクは〈家具からはじまる家づくり〉を提案。周囲からはかなり珍しがられた。だがあえて〈家具づくり〉を主軸に置き、そこから〈家づくり〉を提案するというスタイルで活動を開始。家具職人・大工・設計と3兄弟がそれぞれの腕を活かした、理に適った方法だったからだ。

〈どのような暮らしをしたいのか〉それが家具づくりや家づくりにつながる


家具の中でも特にこだわったのが〈ダイニングテーブル〉だった。
食事や会話を通して〈暮らし〉の基礎を作り、家族の関わりを生む場所に置かれるダイニングテーブル。それをどんなものにするかということは、お客様自身が〈暮らし〉そのものを見つめ直すきっかけになる。
例えば、家族みんなが揃って食事をしたいのであれば大きなダイニングテーブルを、食事の時間がバラバラというのであればキッチンカウンターで十分かもしれない。お客様が、家族でどのような〈暮らし〉をしたいのかを〈家具〉を通してじっくり考えることが〈家づくり〉の第一歩、という考えだ。
「実際に家具をつくっていく過程で、お客様から「椅子のアームが邪魔だから切ってほしい」と言われ、その通りカットしたことがあります。僕には、そこに家具職人としてのこだわりはないんです。お客様が〈暮らし〉を見つめた結果の選択なので、逆に〈自分たちがつくった家具〉として愛着が湧くはずですし、そういう寄り添い方をしたいと思っています。」

コンセプトは〈残るものづくり〉、目指しているのは〈クラフトの新しいカタチ〉


健司さんが家具職人を目指したのは、大学卒業間近、自分のこれからについて模索している時のこと。友人に会うために訪れたカナダで、英会話の先生役だったおばあさんから古い椅子の修理を頼まれたことがきっかけだった。
「どうみても、カッコよくない椅子なんです。きっとおばあさんの夫かその前の代から受け継いだ古いもの。でもそれを“直して使い続ける”っていいなと思ったんです。」
その時の思いはサクラサクのコンセプトである〈残るものづくり〉に繋がっている。
だから、形として受け継がれ、また、思い出として心に残るような家具や家を提案するために、一つ一つオーダーメイドにこだわり、価値あるものをつくり続けている。


最近良く耳にするようになった〈クラフトマンシップ〉。職人が自分の腕によりをかけ、思いを込めてものづくりに向き合う、その姿勢を表した言葉だ。
サクラサクはそこに、昔から受け継がれている職人の技術や知恵、さらに最先端の技術とアイデアも取り入れ、〈クラフトの新しいカタチ〉を提案したいと思っている。規定概念にとらわれることなく、「サクラサクがつくるものは、昔っぽいけど、今っぽいよね。」そう言ってもらえるようなものづくりを追求したいと考えている。

〈住〉につながる〈衣〉〈食〉の提案


これまでもサクラサクは、家具や家づくりにとどまらず、店舗やイベントの空間装飾も手掛けていたが、今後は〈コノヘン〉という別会社でそれらアート分野を追求して行くつもりだ。
「〈コノヘン〉では、暮らしにつながる“楽しい”をたくさんバラ撒いていきたい。アートを通して、サクラサクの仕事である〈住〉につながる〈衣〉や〈食〉の提案をしていきたいと思っています。」
今年の夏には、近隣のイベントで大掛かりな装飾も任されている〈コノヘン〉。今後、どんな“楽しい”を仕掛けてくれるのか楽しみだ。

「僕は諦めが悪いんです」


諦めないということは継続につながり、継続すれば自ずと結果が着いてくる。だからあえて最初からゴールは設定しない。お客様と共に考え、最終的に120%滿足してもらえるものをつくり続けていく、ただそれだけだ。もちろん、会社設立からこれまで、立ち止まったことは一度もない。自分たち信念を貫いて歩み続けていく、それがサクラサクなのだ。
彼らの手から生み出された家具や家、そしてこれから生まれてくる作品たち。それらはきっと、わたしたちの暮らしの節々で、家族や親しい人たちとの思い出を育む礎となり、世代を超えて受け継がれていくだろう。

サクラサク
植原健司(うえはらけんじ)
広島県久井町坂井原5664
TEL.090-4696-3773
Mail:kenji@sakurasakunow.jp
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